Kensuke Takahashiインタビュー: 進化し続けるアート

“鵺退治”, 2017, ©Kensuke Takahashi


Jet-Black Galleryでは、注目すべきアーティストのインタビュー記事を日本語と英語の2言語で定期的に掲載していきます。インタビュー企画の第五弾は、神奈川県横浜市を拠点に活動するアーティスト、Kensuke Takahashi(たかはしけんすけ)。

異文化の流入によって独特な文化を育んできた港湾都市横浜。そんな国際色豊かな街を拠点にKensukeはアーティストとしての活動を行なっています。Kensukeによる活動は、壁画制作に始まり、イベントでのライブペインティング、企業へのイラスト提供等、多岐にわたります。また、ラグビーワールドカップ2019の開催に合わせて、期間限定で設置された『新横浜ウェルカムモニュメント』へのペイントなど、アートを通じて地元地域へも寄与しています。

今年に入りKensukeは、ネオンサインを製作する地元企業SMILE NEONと手を組み、秀逸な巨大壁画を横浜市吉田町に誕生させました。同壁画を例にKensukeの創造するアートは、言わずもがな最上級であり、見る者を圧倒的に魅了します。最上級である所以は、常に改善を重ね、進化を止めないことにあるように考えられます。そんな進化し続けるアーティストKensuke Takahashiのインタビュー、お読みいただけたら嬉しいです。

 

— 簡単に自己紹介をお願いします。

ペインター、ミューラリストのKensuke Takahashiです。


— アーティストを志す具体的なきっかけはありましたか?

きっかけというよりは、何も志さない生活に嫌気がさして一念発起した感じです。

“麒麟”, 2016, ©Kensuke Takahashi

 

— 作品を制作するうえで、大切にしていることがあれば教えてください。

なかなか上手くいきませんが、過去作品より少しでも成長できるよう心がけています。いつもその時に出来る最大限を出しているつもりでも、やはり後になって、ああしておけばよかったとか、こうすれば良かったとか色々反省します。やり直せないので、次はじゃあこうしようとか考えるわけです。おそらく完璧だと思えるような作品は一生出来ないだろうと思いますが、それでも完璧を目指さないわけにはいかないので、前回の作品で後悔した部分を次の作品では無くしていくといった作業を続けているわけです。


— どの作品も色合いが美しくてうっとりしてしまいますが、色を決めるときは、どのようなことを考えていますか?

色使いは昔から苦手なので、いつも苦労しています。最初にぼんやりと色のイメージがあるのですが、なかなか上手く行かないので、毎回四苦八苦しています。僕は絵を描く前にある程度イメージが浮かんでからラフを描くのですが、線は浮かんでも色は中々浮かばないです。多分色も一緒に浮かぶ人もいると思うんですね。そういった人はいわゆる色のセンスがあるのだろうなと、勝手に思っていて、自分はあまり浮かばないからぼんやりしたイメージを色々と試さないといけないので、そこで苦労するわけです。色が最初に1発で決まればとても楽なんだろうなぁと思います。

吉田町 鶏肉専門店 梅や mural, 2020, ©Kensuke Takahashi


— 今年に入り横浜(鶏肉専門店 梅や)で巨大壁画を誕生させましたが、壁画制作において、大変だったことがあれば教えてください。

色々と大変でした(笑)。 足場を組む場所が公道だったこともあり、シートを外すことが出来ず、離れて見られなかったりとか、足場が狭く階段も付けられなかったので、よじ登るしかなかったりとか。ネオン管とのコラボだったので、ぶつけたりしないように気をつけたり、下を普通に人が歩いているので、物を絶対に落とせないとか。気を使う事が多くありましたね。


— 壁画を制作するうえで、特に意識されたことは何ですか?

吉田町(注)というのが川向かいの野毛とは少し毛色が違うというか、少し大人な感じの町なので落ち着いた雰囲気にしようとは思っていました。夜を感じつつ、上品な感じにしようと意識しました。

(注)横浜市中区吉田町


— 横浜市出身ということですが、生まれ育った土地の独特な文化や習慣は、あなたの作品にどのように影響を与えていると思いますか?

作品に影響を与えたというよりは、今やっているミューラル(壁画)やライブペインティングというものに出会えた事が大きかったと思います。横浜に限ったことではありませんが、好きなアーティストにすぐに会えたり、色々なアートの表現の場があることを教えてもらえたりと、そういった部分は大きいかもしれないです。

町田 武相庵 mural, 2018, ©Kensuke Takahashi


— アーティスト・音楽家・作家など、芸術に特化して影響を受けた人やものはありますか?

沢山いて挙げきれませんが、子どもの頃は鳥山明先生や大友克洋先生に影響受けていました。それからは本当に色々で、音楽や映画にも影響受けたと思います。今も海外のミューラルなんかを良くチェックしています。常に何かしら影響を受けて変化していきたいと思っています。


— 近い将来、アート関連で何かワクワクするような計画があれば教えてください。

横浜駅に近々新しい通路が通るのですが、そこで壁画を描かせていただく予定です。三箇所あって、それぞれDragon76、花井祐介さん、僕とで描きます。それがすごく楽しみですね。

 

 

 

 

 

Kensuke Takahashi
横浜出身のペインター、イラストレーター 確かな描写力と自由な発想力で、あえて画風を決めずに描くそのスタイルは自身の作品制作 の他、数々の音楽フェスやイベントでのライブペイントや壁画、店舗 や企業へのイラスト提供、ミュージシャンへのジャケットデザイン提 供など、活動の幅を多岐に広げている。近年ではPow!Wow!Japan in KOBE や PacificRoots FESTへの参 加、 横浜ワールドポーターズへのキャンペーンビジュアル提供、 Roland社AIRAシリーズのビジュアルアートワークや、yokohama breweryの限定ラベル、ジャケットイラストとしてuyamahiroto / DJ A- 1 / Rickie-G / twichem / Yu Mamiya feat.El Da Sensei などがある。(GardenGroveホームページより引用)

https://www.garden-grove.biz/
https://www.instagram.com/kensuketakahashi1977.art/